書評 Gun Crazy

 

以下の書評は、オンライン小説検索エンジンサイト、
『小説の主張』に依頼し、UPされた書評を転載したものです。
このサイトにはいつもお世話になってます。w

 

CASE-01 Highway Star
 コメンテーター:りんろう さま
ご要望に沿い、第一章から七章まで読ませていただきました。
まず言えることは、抜群の情報量を持つ、ということですね。
情報の種類はみっつ、闇社会と銃と、そしてスラングです。
特にスラングの知識量には感心しました。そしてそれを見事に使いこなしている。
私も米語のスラングに興味があって調べたことがあるのですが、その知識はこの作者の100分の1にも満ちていません。だからこそとても感心しました。
常々思うことですが、どんな小説も一定の情報を配してこそ、形を成してくるものなのだなあと。
一例を挙げれば、シンジケートの使いが言った「サンク・ユー」(「サンキュー」ではない)の渋さや、「自由の女神がクソ淫売ビッチだったという事に、黒龍はようやく気がついた」なんていうシャレた言い方があります。
もちろん他にもさまざまなスラング、シャレたいいぐさが色とりどりに散りばめられていますので、そういうのが好きな方はぜひご一読をお勧めします。

もうひとつはその文章力で、ほぼ完璧と言ってよい力量です。
第一章のあたりはちょっと視点や文章がジャンクションに引っかかって混雑しているところがあるのですが、その後は流れるように書き進められ、特にアクションシーンは抜群のできです。
アクションシーンというものはヘタな人間が書くとえらくドタバタしがちで、それを避けようとするとずいぶんと短くあっさりしたものになりがちです。かくいう私がその一例なのですが。
ところがこの作者は第二章以降のほとんどをアクションで占めて、しかもよどみがない。そしてオシャレでかつバイオレンスなわけです。この能力は認めないわけにはいかないところでしょう。
もちろんその裏方を支えるのは、火器に関する豊富な情報であり、そして車の知識であることは言うまでもありません。
どちらが欠けてもこれほどおもしろいアクションシーンには至らなかったことでしょう。

そしてこれは文章力と関わりあることなのですが、人物造形の見事さですね。
登場人物たちはみな脇役に至るまで活き活きとしている。
たとえばギャングのしたっぱたちが手榴弾で吹っ飛ばされるシーンがあるのですが、そうした脇役にも生命力あふれるセリフを与えて惜しんではいません。
ことさらに挙げれば、女性の描き方がとてもうまいと感じました。
悪役のアシュリーの冷酷さをはじめとし、正義側のレインの純粋なまなざしに至るまでとても活力に満ちています。
しかしなんといっても魅力的なのはニコラシカでしょう。
作者自身もお気に入りと見え、精緻な描写が認められます。
たいへん人物描写に優れたこの作者は、どちらかといえば悪役のスケッチに力を入れ、そしてよりそれが非人道的なものであればあるほど、よりよい文章につながっているようです。
この作品はヒーローアクションに分類されるのでしょうが、そういう意味にはピカレスクといってもよいのではないでしょうか。

もしもこの作品に欠点を挙げるとすれば、それは致命的なものであり、しかしそれほど問題にならないものです。
それは読者対象を選ぶということ。
必要以上に過激な暴力描写と性描写、そして差別描写は、年齢・性別、そして思想などによって読者を完全に選択してしまうことでしょう。
もう少し「アンタッチャブル」のようにノーブルに描くという方法もあるかもしれませんが、そういった手心を加えてこの作品の魅力が失われないかどうかということは、まったく責任をとれるところではありません。
私自身は作者の望む方向をちゃんと分かったつもりですので、どんな描写があろうと作者自身とは関係ないことを理解できるのですが、やはりなかなかこの世界の全読者に向けてお薦めするわけではないところでもあります。
なお、単純ミスをいくつか付記します。
第二章「エベンゼールには、その風体が、自分達が小馬鹿にされているようでひどく癇に障った」は「エベンゼールには、その風体が、自分達を小馬鹿にしているようでひどく癇に障った」の誤りで、文のねじれが起こっています。
第四章「写った」は「映った」、第七章「石造」は「石像」であるようです。

私は「アンタッチャブル」や「ゴッドファーザー」などはけっこう好きですので、このような男臭い好篇がウェブノベルの世界に出てきたことをたいへん喜んでいます。ぜひこれからもがんばっていってください。


書評ありがとうございます。
初挑戦のアクションモノであるにも関わらず、このような最大級の賛辞を頂き、至極恐悦の至りです。
そして、やはり指摘を受けました、過激な描写に関するコメント。
過激を売り物にしている心算はありませんが、ハードガンアクションというのを趣旨にしていたら、
いつの間にか斯様のようなバイオレンスな小説になってしまいました。
むぅ……果たしてこのままの路線のまま突っ走っていいものかどうか迷う所ですね。
個人的には、このままのノリで最後まで突き抜けたいとこなのですが。(何

………しかし、ヒーローアクションというのは全くの盲点でしたね。
自分としては、ご指摘の通り、完全な『ピカレスク』というイメージで描いてましたので。
レインのせいかな?

 

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